「これぞ箱根の駆け引き」。青学大vs東洋大、両監督の戦略を分析した (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 こう話す酒井監督は大会前、青学大の選手層の厚さを警戒して、復路の前半でも勝負ができなければいけないと話していた。だが、結局は渡辺が使えなかったこともあり、往路勝負に徹した。

「もちろん復路に1枚残しておくことも考えました。そのひとりを8区に持ってくるのも手かなと。鈴木を8区ではなく往路の4区に持っていって、相澤あたりを8区に回すのも面白いかなと思ったけど、今回は流れを重視しました。(復路でも勝負するための)そんな作戦は次に取っておきます」

 今回は往路優勝が東洋大、復路優勝は青学大、そして総合優勝が東海大と、すべて違う珍しい結果。東海大は全10区間で区間1位は1区間ながら、2位が5区間という総合力の高さを見せた。また、青学大は区間1位が4区間で2位が2区間というすばらしい結果を残している。

 次回に目を向けると、東海大は今回出場できなかったエース格の關颯人(3年)のほかに、今回5区の西田と6区の中島が残り、優勝を経験したことで選手たちが自信をつけて盤石と言える。東洋大も今回走った4年生は3人だけで、主力と特殊区間で走った選手が残る。

 だが、青学大は4年生5人が卒業してしまい、戦力ダウンが気になる。そんな中で原監督がどんなチームを作り上げてくるか。来年の箱根駅伝は、穴がない東海大に対し、原監督や酒井監督がどんな戦略で挑んでくるかが見どころになりそうだ。

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