「これぞ箱根の駆け引き」。
青学大vs東洋大、両監督の戦略を分析した

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 だが、青学大は復路で驚異的な底力を見せた。9区と10区のエントリーは全日本でともに区間賞を獲得した吉田圭太(2年)と吉田裕也(3年)。鈴木塁人を、これまでも重視してきた8区に当日変更で入れると予想された。だが原監督は、8区には1年生の飯田貴之を入れ、10区に鈴木を入れてきた。6区の小野田と7区の区間記録保持者・林奎介(4年)には絶対的な自信を持っているだけに、そこで差を詰め、最終的には9区と10区で勝負をつける戦略をとったのだ。

 一方、東洋大は6区の今西駿介(3年)が区間新で走った青学大の小野田に15秒差の58分12秒で食い下がり、7区の小笹椋(4年)はひざの故障を抱えながらも区間3位の粘りの走りを見せた。また、8区の鈴木宗孝(1年)は東海大の小松陽平(3年)に突き放されて51秒差の2位に落ちたが、青学大の飯田には10秒負けただけで大崩れはしなかった。

 ところが、東洋大は9区と10区で区間19位と10位。これには酒井監督も「想像もしてなかった。僕が監督になってから9区と10区で区間ふた桁は初めてです」と驚きを隠せなかった。

 この結果、東洋大は青学大に9区で8秒差に詰められ、10区であっさり逆転されて2分13秒差をつけられてレースを終えた。東洋大を上回るという点では、青学大の戦略は正解だったということだ。

「8区までは想定どおりだったというか、よく頑張ったなと選手たちの健闘に感動する場面がありました。ただ、全体的に見ると1枚足りなかったですね。前回7区区間3位になっていた渡辺奏太(3年)が今年も使えれば8区までに起用していたし、8区の鈴木は淡々と走るタイプだったから、(本当は)9区で走る姿を見たかった。9区の中村拳梧(4年)も10区だったらもっといい走りをしていたと思う」

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