自主性の尊重と組織改革で箱根駅伝V。東海大の黄金時代が幕を開けた (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

 選手と監督、コーチの間に以前のような話し合いがしにくい雰囲気はなくなり、風通しのいい組織が完成した。チームとして大きな目標を成し得る時は「一体感が必要」と言われるが、東海大は自主性の尊重と組織改革にって「みんなでやろう」という空気が醸成されていったのである。

「うまく行きすぎた感はありますが、優勝するというのはこういうものなのかなと思います。どこもミスがなく、区間順位も2ケタはなかった。特別な走りをした選手はいませんでしたが、全員が自分の走りをして勝ち取った優勝だと思います」

 大手町では17キロ痩せた両角監督の体が、5度宙に舞った。

「この瞬間を待っていました!」

 館澤が涙で顔をクシャクシャにしながら笑みを見せた。

 今回、箱根を走った10人中8人が3年生以下。このほかにも關颯人(せき・はやと)、松尾淳之介(ともに3年)という実力者もいる。青学大の1強時代に終止符を打ち、東海大の新しい時代がスタートした。

(つづく)

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