東海大・両角監督が1年前に提案していた箱根駅伝「3つの改革案」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT/AJPS,Sato Shun

第95回箱根駅伝で初優勝を飾った東海大・両角監督第95回箱根駅伝で初優勝を飾った東海大・両角監督「スタートとゴールがあの場所(読売新聞東京本社前)では、もういろいろなことが消化しきれていないと思うんです。ファンの方をはじめ、多くの人がそこに殺到しますが、非常に手狭で危ないですし、スタート前は人が多くて選手が十分にウォーミングアップする場所がない。待っている間も非常に寒いですし、周辺は交通規制だらけで渋滞も起きている。メリットがほとんどないんです。

 一方で、東京ドームをスタートとゴールに設定すれば、ウォーミングアップ場所の確保などの問題が一気に解消され、さらにさまざまなプラス効果が生じてきます。今、各大学の応援は沿道でバラバラに行なっていますが、ドームにすればスタンドを各大学で区切って大学単位で応援することができるので、カレッジ・アイデンティティーを刺激し、非常に盛り上がると思います。

 もちろん風雨を避けられるのも大きい。ゴールした後も今の場所は混沌としていますが、ドームならゴール場所も余裕を持って確保できますし、その瞬間をスタジアム全体で共有できます。大学単位での最後のあいさつもしやすいですし、表彰式も見ることができます。オリンピックではメダルセレモニーで勝者を讃えますが、現状ではそういう場面をファンや選手の父兄にお見せすることができないのです。選手が走っているシーンは見られても、それを評価するシーンを見せられていないのは競技大会として、どうなのかと思います」

 東京ドームに各大学の幟旗(のぼりばた)が立ち、応援合戦するさまは箱根駅伝をいっそう盛り上げてくれるだろう。ドーム発着が定着すれば、応援そのものにも独特の形が生まれるかもしれない。新しい文化が生まれる素地にもなる。もちろん集中して十分にアップができるのはアスリートにとっては不可欠な条件だ。

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