東海大が悲願の初優勝。快走の布石は昨年の箱根から始まっていた (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Mstsuo/AFLO SPORT

 中島はスタートから突っ込んだ走りを見せた。15秒差で前を行く順天堂大、22秒差の日体大の選手を追い、5.7km地点で2校をとらえた。

「実はスタートを待っている間、前の選手が『俺、登り遅いからな』っていう話をしていたんです。最初、登りが続くんで、それを走る前に聞いてラッキーだなと思っていましたね。それで前半ちょっと突っ込み過ぎたんですけど、前が見えていたので、とにかく抜いて、また違う選手を見て、抜いてという感じでした。このまま4位スタートの拓大のところまではいけるかなって思っていたので、かなり飛ばしました」

 161cmの中島は坂道を転がるように下りていった。下りはほとんど力を使わないので、ラクなのだという。それだけ飛ばせるのはコースを理解しているのも大きい。5区、6区は特殊区間なだけに経験が走りにも大きく影響する。

「今回、東海大の10人のメンバーの中で唯一、自分だけが(前回と)同じ区間を走らせてもらいました。やっぱり、一度経験しているのは大きいと思います。昨年は観客の声援とかもすごくて、なんかフワフワして走っていたんですけど、今回は昨年の経験があったので誰よりも安定した走りを見せないといけないと思いました 

 後半もうちょい伸びたらと思いましたが、自信を持って走ることができました。5位までいく目標を達成し、流れをつくることができたので、自分の仕事はできたかなと思います」

 中島の自信の源は1年間の練習量だ。夏は3週間ほど実業団の夏合宿に参加し、毎日40km以上、ときには60kmを走ったこともあった。距離を踏むことで走れる脚をつくることができ、同時に箱根対策として後半の10kmをどう走るのかを考えた。その脚作りと後半10kmの対策が今回、生きた。

「最初の順大と日体大はスッと前に追いつくことができたんですが、法政大と拓大は10kmまで、そんなに差が詰まっていなかったんです。でも10kmを過ぎて、傾斜がだんだん緩くなってきたところで差を詰めることができた。そこは夏から脚作りをしてきたことと後半の対策をやってきたおかげかなと思いました」

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