箱根駅伝2区の主役候補。
塩尻和也は日本人最速記録に自然体で挑む

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Sportiva(人物)、AFLO SPORT(競技)

箱根駅伝予選会では、日本人トップでゴールしている箱根駅伝予選会では、日本人トップでゴールしている 取材時には、箱根へ向けて今年は、1万mで記録を狙うことはせず、12月2日の熊本甲佐10マイル(16km)に出場する予定だと明かし、次のように話していた。

「1年と2年の時も箱根の想定ということで走っていたレースでしたし、実業団の選手も出てくるので前半の入りも比較的早いペースになるので、実際の箱根の想定という意味で走りたい」

 その甲佐でも日本人選手だけではなく、国際競技者カテゴリーのケニア人選手とも最初から競り合うレースをして、MGC出場権を獲得している藤本拓(トヨタ自動車)に9秒遅れの男子一般で2位ながら、国際競技者と合わせても5番目のゴール。実績を持つ実業団の選手たちを上回る46分06秒の好タイムを出して順調さをアピールした。

 そんな塩尻が臨む4回目で最後の箱根駅伝。

「最後の箱根だからやっぱり区間賞を取りたいというのはあります」

 目安になるのは、4人が6回しか記録を出していない1時間6分台だ。中でも日本人最速は、同じ順大の先輩でもある三代直樹が出した1時間06分46秒だ。だが、塩尻はその記録は意識せずに、自分の走りに専念する気持ちで走りたいと言う。

「2区は後半にかけてきついコースなので、前半は抑えるというほど遅くない、ある程度のタイムで行きたいですが、タイムを気にしすぎるよりは自分の体の動きを気にして走りたい。日本人最高は順大の三代さんの記録なので、周りからはそう言われることもあって、前回はそれをちょっと意識しすぎて、ああいう結果(10位)になったと思います。

 もちろん区間賞を取るためにはタイムも必要だけど、こういうタイムを出すためにどうと言うよりは、『自分の力のすべてをしっかり出したい』というくらいの気持ちで臨みたいですね。それが出た上で、日本人最高記録を越えられなかったらそれはそれで仕方ないし、結果として越えられればそれでよしとするような感じです」

 前回の2区の区間賞は、1時間07分15秒で走った森田歩希(青山学院大)とドミニク・ニャイロ(山梨学院大)が獲得している。だが、今年は距離が17.6kmになった全日本大学駅伝の7区を50分21秒で走って区間賞を獲得したパトリック・ワンブイ(日大)が好調だ。

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