箱根駅伝2区の主役候補。塩尻和也は日本人最速記録に自然体で挑む

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Sportiva(人物)、AFLO SPORT(競技)

 2016年までの服部勇馬(東洋大・現トヨタ自動車)や、17年までの一色恭志(青学大・現GMOアスリーツ)など、華の2区を走る"学生長距離界の顔"と言われる選手が前回はいなかった箱根駅伝。今回その役割を果たす最有力候補が、順天堂大の塩尻和也だ。

大学最後の箱根駅伝に向けて、現在の調子などを語った順大の塩尻和也大学最後の箱根駅伝に向けて、現在の調子などを語った順大の塩尻和也 1年生のときからずっと塩尻は2区を走ってきた。1年では1区12位でタスキを受け、2年は15位から、3年は10位からと、なかなかいい順位でタスキをもらうことができていない。前に人がいたら突っ込んでしまう走りも災いして、前半はオーバーペース気味でなかなか結果を出すことができず、区間最高順位と記録は2年時の5位(1時間08分06秒)に留まっている。

 前回大会は、11月25日に行なわれた八王子ロングディスタンスの1万mで日本人学生歴代4位の27分47秒87を出したことで期待されたが、その疲労が残っていたのか区間10位(1時間09分26秒)という結果だった。

「1万mで記録を出してから箱根までは1カ月間あったので、疲労というのはなかったと思いますが、どうしてもそこで(11月に)1回コンディションを上げた分、箱根に合わせきれなかったのかなと思います」

 出身は陸上の強い群馬県だが、塩尻がいた伊勢崎清明高校は陸上部員が少なく、高校駅伝の県大会も2年生まではオープン参加の合同チームで走っていた。3年の時に、顧問が塩尻に「記録を残させたい」とほかの部活から何人か借りてチームを作って出場し、1区の区間記録を残した。

「普段の練習もひとりでやっていたし、県内のレースで自己ベストを出しに行くにはとにかく自分で最初から行くしかなかったので、その癖が今もちょっと続いているのだと思います」と前半から突っ込むスタイルの理由を説明する。

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