東海大の西田が「山の神」襲名に名乗り。「区間賞を獲りにいきます」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 2年になった今シーズンは、順調に結果を出し、走力もつけたが、さらにランナーとしての意識を大きく変える出来事があった。

 西田は夏休みの期間中、東海大の1次合宿を終えると、実業団の合宿に参加した。その時、同じ部屋だったのが服部勇馬(トヨタ自動車)だった。12月の福岡国際マラソンで優勝したランナーと一緒に数週間過ごすことで、いろんな刺激を受けたという。

「まず、競技に対する意識が全然違いますね。ケアにかける時間がほかの人より多いですし、風呂も自分の入浴剤を使って体の芯から温めていました。食事は、僕と違ってすごい量を食べていましたし、抗疲労のための食品も摂っていました。

 あと、勇馬さんは指定された練習をしつつ、監督と練習メニューを決めたり、すごくコミュニケーションを取っていたんです。それは大事なことなんだって、あらためて思いましたね。ご一緒させていただいて、競技に対する意識をはじめ、めちゃくちゃ刺激を受けました」

 トップアスリートの競技に対する意識の高さは、大学生にとって非常に新鮮であり、驚きでもあった。だが、そうした刺激は生活面だけではなかった。

「実業団の練習は量が多く、質が高いのですべてをこなせなかったですね。たとえば30キロ走は、大学ではキロ4分で入って上ても3分30秒ぐらいなんです。でも実業団は、3分30秒で入って、3分10秒に上げていくんです。シューズもマラソンシューズとかではなく、アップシューズでやっていて......もうレベルが違うなって思いましたし、もっと大学でやらないといけないなって思いました」

 実業団の練習、服部の意識の高さに触れ、西田は学んだことを大学に戻って実践した。もともと体が硬い方で、それが故障の要因にもなっていたが、風呂フロのなかで足の裏を揉みほぐし、風呂上りには股関節を中心にストレッチをするようになった。

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