自分専用ドリンクや練習の改善。服部勇馬の探究心が生んだ強い走り (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

「初マラソンから2回続けて35km以降で失速していたので、(今大会は)すごく成長しているなと思って走っていました。失速を克服できている自分に対しては、すごく評価できるなと思いましたが、それでも38kmくらいでは、『またいつもと同じようになるんじゃないかな』と不安もあって......。それを乗り越えてこういうタイムで走ることができたのはすごくうれしい」

 こう話す服部の走りで特筆するのは、ペースを2分台に上げても走りに力感がなく、それまでと同じように、リラックスしたままの走りでタイムを出していたことだ。服部はその走りをこう説明する。

「動きを変えないままリズムを変えて、少しピッチをあげればペースは自然に上がる。1回目と2回目のマラソンは32~33kmでアクセルを踏んでしまったのでラスト5kmで失速しました。今回はアクセルを踏まなくても、1km3分ペースの走りを持続する対策をしていたので、それができました」

 それは過去2回の失敗から自分の走りの意識を変えた成果である。

「今回のレースに向けて距離走の本数を増やしたことは確かですが、ただ増やしても、遅いタイムでやっていたら、マラソン(の結果)につながるのかというのは疑問でした。だから、ジョグの動きからレースの動きまで、すべての動きを同じようにすることを意識しました。ジョグの動きとスピード練習の動きを同じにすることでずっとその動きができると、あまり追い込む練習がないというか......。

 1km3分のペースに対しての余裕度が今までより出てきているので、スピードを意識するというよりは、その動きをいかに持続するかを考えて練習をしていたので距離を踏んでもきつくならなかったし、疲労感もこれまでとは全然違っていました」

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