全日本2位の東海大に一筋の光明。エースの復調と駅伝デビューの健闘 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Jiji Photo

 1区の西川雄一朗(3年)は、出雲駅伝では集団に押し出されるような形で前に出され、自分のポジションをキープできないレース展開を強いられた。その反省を活かして、今回はスタートから中位ポジションを取り、周囲の強豪選手の様子を見ながらレースができた。9キロ過ぎに青学大の小野田勇次(4年)が前に出ても焦らず、距離を詰め、2位青学大とはわずか2秒差で2区の關颯人(せき・はやと/3年)に襷を渡した。

 關は、出雲では4区を走った。ケガが完治してから1カ月程度でコンディション不足はその走りから見ても明らかだったが、今回はしっかりと調整してきた。

「先頭で来られたらって思ったけど、ちょうど橋詰さん(青学大)を追えるいい位置だったので、ついていこうと。ただ、まだ故障明けから2カ月で最初から突っ込む練習ができていないので、まずは11キロをしっかり走り切ろうという気持ちでレースに入りました」

 關はスピードのある橋詰大慧(たいせい/4年)と並走していた。どこかでスパートをかけるだろうが、そのタイミングを読むためにチラチラと橋詰の顔を見ながら走っていた。だが、8キロを越え、9キロを越えてもその気配がない。残り2キロになり、そろそろという感じで見ると橋詰が1歩下がり、關曰く「キツそうな顔をしていた」とう。

 9.3キロ過ぎ、關はピッチを上げ、そのままトップに立った。

「自分がちょっと前に出た時、橋詰さんが出てこられず、思ったよりも離れたので、ここが仕掛け時かなって思ったんですが、自分もキツくて完全に突き離すことができなくて......。最後、少し詰められてしまったんですけど、トップで館澤につなげたので、チームとしての流れをつくることは最低限できたかなと思います」

 關の走りは、まだ本調子ではないとは言え、今後に希望が持てる内容だった。

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