57泊58日のケニア武者修行。神野大地はどでかい収穫を得た (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

 ケニアに到着後、2週間はグループの練習には参加せず、環境に慣れるためにイテンで自由参加の練習に参加した。火曜日、木曜日に朝9時から起伏のある場所を走るファルトレクがあり、金曜日は18キロのグループ走があった。3週間目からゼーン・ロバートソン(現役のニュージーランドの名ランナー)が指揮を執るグループに合流し、練習メニューをこなすようになった。みんなに「ダイチ」と呼ばれるようになり、仲良く練習ができたという。

―― どんな練習をするのですか?

「練習はゼーンのグループとボラレスポーツがマネジメントをしている選手と合わせて20名ぐらいで一緒にやります。内容は日本のようにレースに向けて今週は上げて、落として、翌週上げていくというサイクルではなく、高い水準でずっと同じメニューをこなす感じで週1回はロングが入ります。30キロが最低で、僕は40キロを一度やりました」

―― 高地の40キロはかなりハードですね。

「まず、コースがエグイ! 標高2300mでスタートして、標高2800mがゴールなんですけど、コース全体がアップダウンしかなく、キプチョゲ(リオ五輪の金メダリストで、今年9月のベルリンマラソンで2時間1分39の世界記録を樹立した)コースと言われているんです。そこで走った時は6キロで先頭から離れてしまいました(苦笑)。

 高地なので呼吸がきついし、アップダウンしかないので坂を登ると一気に乳酸が溜まるりました。トップが2時間25分。キプチョゲもだいたいそのタイムで走り切るそうですが、この40キロ走が一番キツい練習でしたね」

―― コースはロードではないですよね。

「コースは粘土質の赤土で砂利道ですが、逆によかったですね。ロードでは足をあまり使わずに簡単に前に進めるんです。でも、下が赤土で砂利道だと、しっかりと自分の足で地面をとらえて蹴らないと前に進まない。蹴って前に進むというのはトレーナーの中野(ジェームズ修一)さんとトレーニングをして取り組んできたことなので、それをケニアで活かすことができた。ロードだと痛くなるアキレス腱痛もなく、あの地面での練習は自分にとってすごくよかったと思います」

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