「出雲駅伝プロジェクト」で勝利。2年ぶり王者奪還の青学大に隙なし (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 この3人を森田歩稀(ほまれ/4年)、鈴木ら主力選手のなかにうまく組み込んだ。そして、完全にハマった。

 1区、橋詰がラスト700mで得意のラストスパートで前に出るとグイグイと後続の東洋大、東海大を離していった。区間賞の見事な走りだった。この時点で2位の東洋大との差は6秒だった。

 2区の鈴木(3年)は単独走でペースを刻み、終わってみれば関東インカレ、日本選手権、全カレの1500m王者の東海大・館澤亨次(たてざわ・りょうじ/3年)に23秒差をつけて首位をキープ。鈴木は「橋詰さんからトップで襷をもらったので、いい流れで走ることができました」と区間賞を取る走りをみせた。

 3区は、エースの森田が区間2位の走りを見せ、2位の拓殖大に36秒差をつけて、確実に後続との差を広げた。「4区以降に駅伝初の選手がいたので安心して走ってもらうために差を開こうと思って走りました」という森田の優しさがタイム差になって表れた。

「前半3区間でトップを取り、15秒差内でアンカーに渡す」

 決戦前夜に語った原監督の狙い通りのレースが完璧に出来ていたのである。

 4区の吉田も区間賞を取り、この時点で2位・東洋大との差は45秒差に広がった。ここでほぼ勝負あった。距離が短い出雲は30秒以上の差が出ると基本的に逆転はむずかしい。

 5区、生方は東洋大の今西駿介(3年)の区間賞の走りで33秒差まで詰められ、アンカーの竹石尚人(3年)も一時は吉川洋次(2年)に4秒差まで迫られた。しかし、昨年の箱根5区で驚異的な登りを見せ、原監督に「4代目"山の神"になり得る」とまで言わせた竹石は、今回も登りで強さを見せた。

 浜山公園の登りで背後に迫っていた吉川を突き離すとあとは自分のペースで走り、最終的に2位の東洋大に12秒の差をつけてゴールラインを切った。「冷静に後ろを見ていた。ここで抜かれたら青学大のエースにはなれない。勝ててよかったです」と竹石は笑顔を見せた。

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