選抜方法の変更に手応え。瀬古利彦が語る「世界との戦いに必要なこと」 (4ページ目)

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

「宗さんたちには本当に感謝しています。宗さんが上を目指すから私はもっと上を目指した。そこで日本のマラソンに火がついて、私や宗さんを追い抜いてやろうともっと上を目指したのが中山くん、谷口くん、森下くんといった選手たち。そうやって日本の黄金期ができた。その関係性を大迫選手や設楽選手が築いてほしい。世代全体が押し上がるためにもライバルは絶対に必要です」

 MGCによる選抜方法が、早い時期からライバル心を刺激してオリンピックの3年前からお互いを高めていく。日本新記録はすでに出た。次は世界で戦える強さだ。

「極端に言うと、今まではオリンピック前年だけマラソンを頑張ればよかったわけです。前年まではトラックで世界選手権を目指して、スピードをつけてからマラソンで勝負みたいな。でも、そんなに世界のマラソンは甘くない。勝負するのに3年はかかる。17年、18年、19年と継続することでオリンピックのチャンスが出てくるこのシステムを始めて、本当によかったと思います。今やっていることがオリンピックにつながる。マラソンに早くから向き合えるし、ライバルと競って成長できる。大成功です」

(後編へつづく)

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