トラックシーズン終了。東海大監督が「心強い」と成長を認めた選手は? (3ページ目)

  • 佐藤俊●文・写真 text&photo by Sato Shun

「陸上はあくまで個人競技なので、個々の意識が問題なんです。山登りにたとえると、6合目を目指すのと、8合目を目指すのとでは準備や覚悟が違ってくる。でも、うちの選手は全部同じ感覚で山を登っているんです。今と同じ練習をしていれば伸びていくと錯覚しているんですよ。

 8合目までは勢いで行けても、エベレストの頂上を目指すには腰を据えて一歩一歩上がっていく必要があるし、最後は自分を変えたり、もっと自分を強くしないと頂上には行けないのに......そのことを理解していないんです」

 東海大は駅伝では強豪校といわれ、優れた選手が大勢いる。毎年、一歩ずつ強くなってきているが、それは選手個々の努力の賜物であって、大学に入ったから、あるいは東海大陸上部にいるから強くなれるものではない。

 東海大の練習をしていれば自然と強くなるだろうという錯覚をしてしまうと、選手の成長はもちろん、チームも停滞してしまう。両角監督はそれを危惧しているようだ。

「春の記録を見ていても、アベレージが上がらない。一発はマグレでいい記録を出せることもあるんです。それをコンスタントにし、確かなものにしていかないといけないんです。小松も、昨年12月の1万mで28分35秒63を出したけど、今日(網走)みたいなレース(29分26秒47)で同じようにしっかりとタイムを出してくれると、アベレージが上がることになるんですけどね。そこがまだまだ物足りないところですね」

 両角監督の表情は、終始厳しかった。

 選手個々のアベレージが上がれば、チームの総力も上がる。だが、選手のタイムはばらつきがあり、なかなか安定した結果を残せずにいる。そのなかで、両角監督が唯一、調子がよかったと認めた選手がいた。

「湯澤はよかったですね。トラックシーズンは、彼が一番の成長株だと思います。駅伝を走れる選手として、心強い存在になりましたね」

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