リオの銀から2年。日本スプリント勢が再び輝くには飯塚翔太が必要だ (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 春先には腸腰筋の張りが出て5月3日の静岡国際陸上を欠場したが、それも飯塚は「スピードを上げて大きな動きができているというポジティブな疲労だと思う」と捉えている。

 今シーズン初レースだった5月20日のゴールデングランプリ大阪でも、いい兆候は見えていた。後半の練習まではできていなかったために最後は失速して20秒75で8位という結果だったが、前半の走りは昨シーズンとは違う大きな動きになっていた。その後も6月の中央大記録会で今季日本ランキング1位の20秒54を出した。

「あれ(中央大記録会)も布勢スプリントの6日後だったので、そんなに調子がいいというのはなかったので、内容としては理想にはまだ全然という感じでしたね。でも、これでピーキングをうまくできて全身の可動域が広がってくれば変わると思うので、手応えは感じています。

 ただ、僕はひとりで練習をしていることが多いので、本番になると『自分はどのくらいで(前に)出られるんだろう』と考えてしまう。それがよくないのでしょうね。常に強い選手と一緒に練習をしていれば『これでいいんだ』と思えるけど、僕はまだそれを固めきっていない。

 それでも今年は、今までより力を使えるようになったというか、大きな走りで速いスピードでいけている感覚はあるし、『いけそうだな』というくらいのところまできているので、あとはそれを試合でやるだけだと思っています。その意味では日本選手権が楽しみだし、殻を破るようなレース展開ができればいいと思います」

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