リオの銀から2年。日本スプリント勢が再び輝くには飯塚翔太が必要だ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 ただ、本職の200mに関しては、リオが終わってからどういった走りを求めようか考えることが多かったという。リオの年は6月の日本選手権で20秒11の自己ベストを出し、7月のダイヤモンドリーグモナコ大会では20秒39とまずまずの状態だった。しかし、リオでは20秒49で予選落ちという結果。

 2017年の100mでは自己ベストを出せたが、日本選手権の200mではいいレースができたという手応えはなかった。

 ようやく8月に行なわれた世界選手権ロンドン大会で走った2レースは、予選、準決勝ともに「やっと最後まで走りきれた」と手応えを感じた。

「あの時は、予選も準決勝も前半から思い切っていけました。後半もガムシャラにいけたのは、去年(のレースのなかで)初めてだったんです。その手応えがすごくよくて『これは面白いな』と思って。自分のパフォーマンスはあれが限界ではなくて、前に進んでいるなという感覚でした。スタートで遅れて前を追いかけたら足が上がらなくなって終わったというのではなく、先が見える結果でした」

 そんななかで、サニブラウンが日本選手権を制した上に、世界選手権でもあっさりと決勝進出を果たした。それは飯塚にとって刺激になったという。

「こんなに簡単に決勝にいけるんだと思いました。適わないというネガティブな考えはなくて、自分も決勝にいって戦いたいし、その時はどんな気分なのかなって。ハキームの走りを見て『でかいな』と思いましたね。メチャクチャ速いじゃないですか。身長も僕と1~2cmしか変わらないのにあれだけ伸びていける。他人の走りがどうかじゃないけど、体を生かしているなというのを感じたから、自分ももっと体を生かせるようになれば面白いと思いました」

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