東海大が狙う「長距離5冠」の野望。
その一つ目、関東インカレは?

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 ゴールした選手たちは膝に手をつき、つらそうだ。すぐに水が手渡され、選手たちは給水している。湯澤は、紙コップの水を一気に飲み干し、満足そうな笑みを見せた。

「レースは想定通り。関東インカレに調子を合わせてきたので、いい状態でここまでこられました。日本人トップを狙っていけるなと思っていましたし、そこは意識してレースをしました」

 その狙い通り日本人トップ。ポイントを稼ぎ、東海大の「学生長距離5冠」のうち最初の1冠達成に向け、大きく貢献した。

「1万mでポイントが取れていなかったんで、自分たちが得点できたらと思っていた。そういう意味では3人が7位以内に入賞できたのはすごくよかったです」

 湯澤は、そう言って笑顔を見せた。

 湯澤は昨シーズン、目標にしていた箱根駅伝に出走できなかった。10区の川端千都の控えで両角監督からは「当日変更もあるので用意しておくように」と言われたが、最後まで声はかからなかった。

「悔しかったですね。正直、すごく調子がよかったんです。最後(選ばれるの)は調子のいい自分なのか、それともタイムや実績(のある選手)なのか......。自分は1万mと5000mはタイムを持っていなかった。最後の場面でそういう判断をされるなら、自分もタイムを出していかないといけないのかなと、その時は思いました」

 記録を紐解くと湯澤の5000mの持ちタイムは14分19秒32で、これは1年の時の記録だ。1万mは29分13秒44で、これは2年の時の記録。タイムが出ていないので、チームランクはSチームではなく、Aチームだという。両角監督は選手のオーダーを決める際、「まずはタイムを重視する」と言っている。10区で2人が天秤にかけられたが、最終決断はタイムになったということだ。

「でも、今さら5000mや1万mをやる気はないです。トラックシーズンはホクレン(・ディスタンスチャレンジ)で終わり。あとはロードで箱根を走れる足を作ります」

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