東海大が狙う「長距離5冠」の野望。
その一つ目、関東インカレは?

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 最終日はキャプテンの湊谷春紀(4年)、寮長の湯澤舜(しゅん/4年)、それに箱根5区を目指す西田壮志(2年)が出場するハーフマラソン、それに鬼塚、關颯人(3年)、阪口の主力が出場する5000mの2種目が行なわれた。

 ハーフマラソン男子1部は午前9時5分、気温24度、厳しい日差しの中、スタートした。

 ニャイロが先頭に立ち、その後ろを西田、湊谷、湯澤がついていく。10kmまでは動きがなかったが、昨年大会同様、ここからレースが動いた。ニャイロがスピードを上げて、後続を引き離しにかかったのだ。

「あまりにもペースが違うんで、2位の日本人集団についていこうと切り替えました」

 西田はニャイロを追うのをやめて、自分のペースを守った。

 2位集団には西田、湊谷、湯澤らがおり、淡々と走る。この3人は4月8日、焼津ハーフでも一緒に走っている。その時は湊谷が64分11秒、湯澤が64分17秒、西田が64分26秒だった。ロードを得意とする3人は、東海大のスピード強化のトレーニングとは離れたところで練習しているが、彼らには20kmでは負けられない意地がある。箱根に向けて、特に前回走れなかった湯澤と西田はメラメラと闘志を燃やして練習している。

 トラックの大型スクリーンには時々、ハーフを走る選手の映像が映し出される。ニャイロはひとり旅をしているが、後続の選手はどうなったのか......。

 18km地点、スタジアム場内の大型スクリーンに映し出されたのは2位集団で前を走る湯澤の姿だった。

「自分はニャイロが前に出た時点で、キロ3分ペースで押していくようにして、日本人集団の中でしっかりついていこうと。コースはちょっとカーブが多いんで、コース取り、位置取りも大事かなって思っていたんですが、自分のなかでわりといい位置で走れていたと思います」

 ギオンスタジアムに選手が帰ってきた。

 ニャイロの後、姿を見せたのは湯澤だった。しっかりと腕を振り、いくぶん余裕も感じられるような表情で、2位でフィニッシュしたのである。西田は4位、湊谷は最後に真柄(まがら)光佑(早稲田大)に抜かれたが7位に入り、キャプテンとしての意地を見せた。

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