東海大が狙う「長距離5冠」の野望。その一つ目、関東インカレは? (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「ホームストレートに入ってからだと向かい風もありますし、ヨーイドンだと勝てないと思っていたので、残り200mでラストスパートをかけました」

 カーブでもスピードが落ちず、ホームストレートに入って小林が懸命に追うが、館澤のスピードが上がる。そのまま館澤はトップでゴールラインを駆け抜け、1500mで大会2連覇を達成し、貴重な8ポイントを獲得したのである。

 館澤は汗に濡れながらも、気持ちいい笑顔を見せた。

「ラスト、後ろから足音が聞こえてきたんで、最後の最後まで気が抜けないレースでした。2連覇できてよかったですし、昨年の優勝よりもうれしいです。昨年は1500mが初めてだったので、チャレンジして勝ったんですけど、今年は思うように走れないことを経験して、かなり悩んだ時期もありました。そういうのを乗り越えて、勝ちたかった試合で結果を残すことができて、本当にうれしいです」

 ゴールした瞬間は、ガッツポーズも出た。

「あれが、自分のトレードマークになるように、これからもしっかり勝っていきたいなと思います」

 館澤は待機場所に戻ってきた。東海大の待機場所は簡易テントに簾(すだれ)が掛けてあり、センスのよさを感じさせる。中で着替えながら話をするが、「勝ててほんとよかったぁ」と笑顔がこぼれる。

 両角監督はこれからのさらなる活躍に期待を寄せた。

「連覇のプレッシャーがあり、しかも1500mから箱根(駅伝)まで幅広く消化しているなか、しっかり1500mで勝ったのは大変なこと。このまま力をつけて、日本の中距離に風穴を開ける選手になってほしいですね」

 エースの活躍で初のポイントを獲得し、チームは勢いづいた。

 3000mSCには三上嵩斗(しゅうと/4年)、足立直哉(4年)、阪口竜平(3年)が出場。序盤は阪口がレースを引っ張る展開になり、中盤からは三上が先頭に立った。ラスト1周で2人の選手に抜かれたが、三上は3位、阪口は4位、足立はホームストレートで必死のラストスパートを見せて6位に入賞し、3人で14ポイントを稼いだ。「足の調子はまだまだで、最低限の結果です」と阪口は言ったが、これで東海大は3種目合計で22ポイント。2位の山梨学院大に8ポイント差をつけてトップに立ったのである。

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