神野大地、母の反対を押し切りプロ宣言。安定を捨ててまで目指すもの

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

先月末、プロ宣言したマラソンランナー神野大地先月末、プロ宣言したマラソンランナー神野大地神野プロジェクト Road to 2020(16)
「プロ宣言」前編

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 プロマラソンランナーへの転向――。

 4月30日付けでコニカミノルタを退社し、神野大地はプロマラソンランナーになった。青山学院大学で"3代目山の神"となり、箱根駅伝2連覇達成に貢献し、箱根のスター選手として将来を嘱望されてコニカミノルタに入社した。

 2年目からは本格的にマラソンに取り組み、東京五輪でメダルを獲ることを目標に掲げた。高い目標だが、トレーナーの中野ジェームズ修一と二人三脚でフィジカル面を強化するなど、陸上人生を賭けた大きな挑戦をスタートさせ、福岡国際マラソン、東京マラソンを駆けた。

 そして、3年目に入ったこの春、プロ宣言をした。

 なぜ、今のタイミングで「プロ」になったのか。
 何が神野を「プロ」へと駆り立てたのだろうか――。

――プロへの気持ちが芽生えたのはいつ、どういう理由からですか。

「プロを考え始めたのは昨年の11月ごろです。その年の春からマラソンのトレーニングをしてきました。でも、僕の力が足りないのもあって東京五輪に出場して、メダルを獲るという目標が実業団に所属したままでは届きそうにない。もっと自分のためだけに時間を使って、強くなりたいと思うようになったんです」

――コニカミノルタは練習環境が非常によかったと思うのですが。

「確かに実業団はチームが練習や合宿の準備をしてくれたり、練習環境や寮生活をはじめ、いい面もあります。でも、長期合宿や駅伝もあって、なかなか自分のためだけというわけにはいかない。それにチームでやってもらっていることは自分でもできるなって思ったんです。まだ何も結果を出していないのにって思われるかもしれないですが、残された短い時間を自分のためだけに使いたい。それが東京五輪に一番近づける方法だと思い、プロになることを考えるようになりました」

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