日本陸上界に、あの「メダル候補」が
2年9カ月ぶりに帰ってきた

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 鈴木がこう話す通り、1000mまでは3分55秒で歩く先頭集団時につけたものの、松永と髙橋がペースを3分47秒に上げると、ついていけなくなった。3000mまでは先頭と13秒差と粘ったが、そこから少しペースを上げた3位集団の野田と谷井孝行(自衛隊体育学校)に遅れ始め、最終的に4位の谷井との差は21秒99となった。

「4分を切るペースでは3000mまでしかいけなかったんですが、スピードが出ているという感覚はありましたね。2000mくらいで野田くんについている時は余裕もあって『まだいけるな』という風に感じていた。それで何周かついてみたけど、そこから一気に体にきたので、まだまだ距離の練習が足りてないなと思いました。乳酸がすぐに溜まる体に変化してしまっているので、しっかり距離の練習をして乳酸が溜まりにくい体をもう1回作り直さなければいけないなと痛感しました」

 本人も「今日のフォームは30%の出来だった」というように、素早さやキレ、力感は以前と比べると足りない歩きだった。

「本当に動いてないですね。硬いのを何とか動かして、自分の体力で歩き切った5000mなので、まだまだ20kmは歩き切れないと思います。ペースをもっと落としたとしても20kmはまだキツい。練習を重ねていかなければいけないです」

 体も脚のあたりが以前より脂肪がついているように見えたことを伝えると、鈴木も「それがなかなか落ちないんですよね」と笑う。現在の体重はベストの時に比べて3kgほど多いという。

「練習ができていない時は、8kgくらいはオーバーしていましたね。練習に集中できている時は3食食べればお腹も空かないけど、故障中は集中できていないので、つい食べ物に手が出てしまうんです。プラス3kgまで落としましたが、ここからは練習をして、しっかり食べるものを食べながら落としていかなければいけないと考えています。

 来年の夏くらいまでに落としていけばいいかなと考えているので、(来年)2月の日本選手権の時期はある程度落とせていればいいのかなと。今は体重が重いものとして練習もやっているし、逆に重い状態でやっているからこそ落とした時に軽さを実感できると思うので、これはこれでいいと思います」

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