東海大・箱根のエースたちが、この時期に追求する「超スピード勝負」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by AFLO

 阪口はアップの時に、だいたいのタイムが読めるのだという。ハスキーの時も読みどおりになり、今回もアップの時に8分0~3秒ぐらいの間のタイムの感覚だった。結果は8分2秒。「やっぱりな」と予測通りのタイムだった。

 競技力向上に向けて、阪口は肉体強化にも取り組んでいる。

 4月、アメリカから帰国した時、「2kgぐらい体重が増えました」と、ウエイトトレーニングの成果として割れた腹筋と締まった腰回りを見せてくれた。昨年よりも筋肉量が増え、より安定した走りが実現できるようになるだろう。

「体重が増えてからちゃんとした練習が積めていないので、ウエイトの効果が出ているのかどうか、まだ明確ではないですね。ただ、今は体重が少し重いかな......。ハスキーで7分51秒を出した時は、53kgをちょっと超えたぐらいで、今は56.5kgぐらいです。長い距離であれば今ぐらいでもいけるんですけど、短い距離でスピード系であれば、もうちょっと絞ってもいいかなと思います」

 ウエイトの効果は、これからのレースで十二分に証明してくれるだろう。阪口にとっては大事なレースが続く。関東インカレでは、5000mと3000mSC(障害)にエントリーしている。

「まずは、この2つのレースにしっかりと勝って、優勝すること。そして、日本選手権の3000mSCで自己ベストを更新して、アジア大会では日本記録を狙い、メダルを獲りたいと思っています。今日のレースは、今後のためにいいトレーニングになりました」

 何かしらの手応えを感じたようで、阪口の表情は明るかった。

 故障から復活しつつある阪口、そして悩みのトンネルから抜け出た館澤。主力選手の状態が上がっていくなか、24日から始まる関東インカレで館澤は1500mの連覇を目指し、阪口は2つのレースを制する決意だ。主力の2人が思い通りのレースを展開できれば、長距離部門でトップを取ることが見えてくる。

 東海大学の今年の目標である「学生長距離5冠」に向け、弾みがつくだろう。

◆山縣、桐生がギアアップ。日本短距離勢が早くも「メダル級」の記録

◆東海大駅伝の口下手な新主将は、3年生のスター軍団をまとめられるか

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