東海大のエース、關颯人と館澤亨次が語る「1500mからの箱根駅伝」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「アメリカで練習をやってきて、1500mのスピードが足りないなって思ったんです。最終的に5000mのために、というのはありますけど、しっかり1500mを日本で戦える力がないと、5000mでも世界で戦えない。1500mはひとつの種目としても、これからしっかり取り組んでいこうと思っています」

 關も2月、3月の2カ月間、アメリカのオレゴンでトレーニングを積んできた。

 昨年の春、夏に続き、アメリカでのトレーニングは3回目になる。だいぶ環境にも慣れ、リラックスして練習できたようだが、いつも驚かされるのがアメリカの勉強の厳しさだという。レース会場の待ち時間でも、現地の学生選手たちは教科書を開いていた。成績が悪いと練習や試合に参加できないペナルティが課されるので、彼らは必死で勉強しているのだ。その姿に「勉強あってのスポーツ」という学生の本分を改めて理解したと苦笑する。

 東海大では両角監督が選手の成績表をチェックし、成績が落ちた選手には指導をしている。「学業がおろそかになる選手は競技力も落ちる」という監督の考えからなのだが、日本ではスポーツ奨学生はどうしてもスポーツ中心になってしまう。

「あと、現地ではアメリカの大学に通って競技をしている打越(雄允/ゆうすけ)さんに会ったんですが、僕は高校の時、海外に行くという考えがなかった。そこに自分から行く、そのチャレンジ精神がすごいなって思いました」

 打越は国学院久我山高校時代、優秀なランナーで多くの駅伝強豪校から勧誘があった選手である。だが、アメリカへの留学を選択し、浪人生活を経て現在、ボイシ州立大学に通い、学業と競技を両立させている。そういう生き方もあるのだと刺激を受けた。

 關は「アメリカでは特別な練習はしていなかった」と言うが、箱根以来となるフォームを見ると、お尻周辺に筋肉がつき、全体的にも引き締まった感がある。ウエイトにしっかりと取り組んできた様子が見て取れる。

「日本ではデッドリフト(背筋や下半身後面を鍛える筋トレ)や上半身のウエイトが多かったんですけど、アメリカでは尻回りのトレーニングが多かったですね。海外の選手の走りを見ていると、ラストスパートでもフォームをブラさずにきれいなフォームのまま、ピッチを上げていくんです。それができるのはお尻を含めた下半身が安定しているから。自分も最後までブレない走りというか、効率のいい走りを目指しているので参考になりました」

 そのトレーニングの成果が、この日の走りにも出ていた。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る