東海大駅伝の口下手な新主将は、3年生のスター軍団をまとめられるか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「箱根の優勝を目指している青学や東洋のキャプテンは熱く意気込みを語っているけど、うちのキャプテンはどうなんだとなった時、発信力がないと周囲の人もチームの選手たちも物足りなさを感じてしまう。口下手なので、背中を見てくださいって言うんじゃ、今までの彼と変わらないんでね。

 私はリーダーというのは自分の思っていることをきちんと伝えられないといけないと思っています。彼にはそういう部分で激変......、うーん進化してもらわないといけない」

 そんな両角監督の言葉を伝えると湊谷は、「自分がやれることをやるだけですね」と、冷静に受け止めていた。だが、主将として自分が考えていることをきちんと伝えるのは、チームをまとめていくためには不可欠なことだ。言うべきことを言うべきタイミングで伝えていかないと、誰も耳を傾けなくなってしまう。

 もちろん、個性派揃いの選手たちをひとつにまとめるのは容易ではない。前主将の春日が全員で仕事を分担したり、新たなルール作りをしたりとチーム改革を推し進めるなかで、チームメイトから反発を喰らい、苦しむ姿を湊谷は間近で見てきていた。

「いろんなことを変えていこうとして、春日さんが率先してやっていたのは、すごいなって思っていました。でも、反発があって、何かを変えていくことはそういうことなんだなって思いましたね。

 変えていく場合、みんなが『いいよ』って協力してくれればいいけど、簡単にはいかないのは昨年見てきてわかっています。僕はすべてを変えることがいいとは思わないので、例えば昨年始めた4年生全員に役職をつけて、全学年で仕事を分担するのはやめました。仕事によっては、ほとんど機能しないところもあったので。今年は大きく何かを変えることはしないですね」

 では、"新しく"何かをやろうと考えているのだろうか。

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