なぜ神野大地の「おなか」は痛くなるのか。8分台を阻む原因を調べる (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 3月中旬のレイヤートレーニングでは、AからE、FからJの2山のメニューを約2時間半かけて消化した。その合計10個のメニューで印象に残ったのは、瞬発系とアイソメトリックのトレーニングが6項目に増えていたことだ。

 中野が「レッグカール」と呼んでいるトレーニングは、「踵からハムストリングスを使って素早く蹴り上げる動作」のことで、台の上に右足を置き、左足を素早く蹴り上げて足をたたむ。これを120回こなすのだが、ラスト20回はよりスピードアップする。これは、足が流れないように福岡のレース以降に始めたトレーニングである。

 もうひとつ印象的だったのは、コンビネーションというトレーニングだ。このトレーニングでは、二―アップとレッグカールを交互にこなしていく。

「コンビネーションは、筋肉を疲労させて追い込んで追い込んで、その状態から最後に動かしていくというイメージのトレーニングです。これは2時間8分台を目指すためにやってきたものです。本当は3山目のラストにやりたいんですが、MGCの出場権を獲得するまではやりません。

 トレーニングのダメージが大きいのもあるけど、8分台で走った時のウィークポイントがまだわからないですから。それは8分のレースを経験して初めてわかること。想像していたところと違うところが弱いと出る可能性もあるので、神野には早く8分台を出してほしいですね(笑)」

 トレーニングの質はこれまでより相当上がっているが、神野は汗を流しながらも淡々とこなしていく。以前は、苦しさのあまり息が切れて喘いでいたが、今回の2時間半のレイヤートレーニングでは同じようなシーンがあまり見られなかった。そういったところからも、フィジカルが充実してきていることが見て取れる。

「今日は集中してできました」

 笑顔でトレーニングを終えた神野は、アイシングをしている間に2つのマラソンの成果についてこう話した。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る