なぜ神野大地の「おなか」は痛くなるのか。8分台を阻む原因を調べる (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 レース後、中野ジェームズ修一は、神野の足の状態をチェックした。

「足は、ハムストリングスの状態も『このくらい張っていたらいいな』というイメージ通りの張りで、まだ余裕がありました。これはレースまでの調整方法を変えたのがよかったんだと思います。まだ100%フィットしているわけじゃないですけど、神野の場合、レイヤー(トレーニング)の強度を下げて、疲労を抜いたほうがいいことがわかりました。 

 たぶん、差し込みがなければ相当な記録が出ていたと思います。差し込みによる遅れでも結局は負けになってしまうので、それは悔しいところですが、進歩している手応えは感じました」

 調整も仕上がりもほぼ万全だったが、差し込みに8分台を阻まれた。今回の東京では福岡の時とは異なる薬を服用して臨んだが、同じような症状が出てしまった。これがMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)や東京五輪マラソンの本番に起こってしまうと取り返しのつかないことになる。中野は原因を特定するために徹底的に調べを進めていくという。

「まず胃カメラの検査をしたんですが、胃には問題がなかった。この後はMRCPの検査をしてから、運動負荷試験をする予定です。トレッドミルなどで追い込んだ後、同じ痛みを意図的に発生させて、その時に血液検査や診察をしてもらう。そうしてひとつひとつ原因と思われる要素を潰していきます。メンタルの要素も考えられますが、それは最後ですね。徹底的に検査をして体にまったく問題がないことがハッキリわかってから、最後にメンタルを考えようと思っています」

 差し込みの原因を解明するにはもう少し時間がかかりそうだが、中野は次のステージに向けて新しい練習をすでにスタートさせている。

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