女子マラソンにまた新星。関根花観は「安全運転」で好記録出ちゃった (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 しかし、なかなか状態が上がらなかったため、ハーフマラソンも走らせることができなかった。スピード感も出てこず、ポイント練習では格下の選手にも遅れる状態だったため、1月14日の都道府県対抗駅伝の10km区間で33分台までかかるようならフルマラソン挑戦はやめさせようかとも考えていたという。だが、そこをクリアしたことで、名古屋の出場が決まった。

「ただ2月10日のあたりで、もうひと押しすれば22分台も見えるだろうなと思っていましたが、それ以上やると故障をしてしまうだろうと練習量を落としました。だから早めに調整に入らせる、これまでやったことがない形でマラソンを走らせた」と高橋監督は振り返る。その点では通常のマラソン練習と比べれば、7割程度の練習量だったという。

 その練習不足を補ったのは、陸上を始めた中学生時代から心の中に持っていた、関根のマラソンへの思いだ。豊川高校から日本郵政グループの第1期生として入社した時から、高橋監督の知らないところで2~3時間ジョグをしたり、往復40kmある町田市の実家まで走ったりしてマラソン練習をしていたのだ。調子が上がらない中でも、マラソン練習をしたことでしっかりとした脚作りもできた。その成果が今回の後半でタイムを落とさない走りにつながった。

 1月の大阪国際女子マラソンを2時間22分44秒で優勝した松田瑞生(ダイハツ)に続き、初マラソンでその適性を証明した関根。走りたくてたまらなかった42.195kmを走りきった感想をこう話す。

「まずマラソン練習の時から、トラック練習とはまた違う自分の想像以上のキツさがあったので、正直言って甘く見ていたなと思いました。それにレースでも2時間以上も集中力を保たなければいけない大変さをすごく感じた。25kmを過ぎてからレースが動いたところで、先頭についていけなかったところはまだまだだと思うので、早く自分の実力が追いついたらな、と思います」

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