厚底シューズで連勝。設楽悠太は「みなさんのために東京で日本記録を」 (3ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News

 日本マラソン界の常識でいうと、ハーフマラソンで日本記録をマークした1週間後に、フルマラソンでも好タイムを残すことは考えられなかった。不可能を可能にしたのは、ナイキの厚底シューズによるところも大きいだろう。設楽は昨年9月から、『ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%』を履いて、連戦でも快走を続けてきた。

「昔は薄いシューズが当たり前だったんですけど、今は厚いシューズになって、疲労感が違います。僕の感覚では、毎週ハーフくらいの距離だったら走れるくらいのシューズです。足を置くだけで前に進む感じがありますし、それが結果につながってきているかなと思います」

 1月は元日のニューイヤー駅伝4区で、区間2位の井上大仁(MHPS)に34秒差をつけて区間賞。21日の都道府県駅伝でも最終7区でぶっちぎりの区間賞を獲得している。他の選手が走り込みをしているとき、設楽は20km前後のレースを立て続けにこなして、スピードと持久力を高めてきた。

 東京マラソンは日本人向けのキロ3分で進むペースメーカーも用意される予定だが、前世界記録保持者のウィルソン・キプサング(ケニア)ら世界の強豪たちの背中を追いかけるつもりでいる。

「自分のためではなくて、みなさんのために僕は走っています。見てくれている人たちのことを考えたら、一番の楽しみは日本記録の更新だと思うので、その思いを背負って挑みたい。キプサング選手にもチャレンジしたいですし、前半から攻めていこうかなと思います」

 昨年12月の福岡国際マラソンでは、同学年で同じナイキの厚底シューズを履く大迫傑(Nike ORPJT)が現役日本人最速の2時間7分19秒をマークした。東京では新発想のマラソントレーニングをこなす設楽悠太が、どんなタイムを刻むのか。

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