厚底シューズで連勝。設楽悠太は「みなさんのために東京で日本記録を」 (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News

 東京マラソン出場組のなかでは、設楽だけが"別次元"のレースをこなしたことになる。しかも、設楽は2月11日の唐津10マイルでも「全力で」走り、46分12秒で完勝。このレース出場のペースは、日本マラソン界の常識を逸脱している。

 連戦といえば川内優輝(埼玉県庁)が有名だが、設楽はリオ五輪1万mにも出場したスピードランナーだ。連戦でも持ち味のスピードを落とすことなく、"軽く"仕上げているような印象があり、川内とは明らかにタイプが異なる。

 前回の東京では一度も40km走を行なわず、初マラソンに挑戦した。10kmを29分12秒、20kmを58分34秒、中間点を1時間1分55秒で通過。33km付近まで日本記録(2時間6分16秒)を上回り、2時間9分27秒でまとめている。

 その成功体験もあり、「40km走をやったからといって、マラソンは走れるわけではない」と、設楽は日本人選手がベースにしている40km走には否定的な意見を持つ。

「『距離を踏まないとマラソンは走れない』という声はたくさん聞きますけど、もうそんな時代ではありません。僕は40km走をやらなくてもマラソンを走れます。今は環境にも恵まれているので、いいシューズを選び、効率よく練習すれば結果はついてくるんじゃないでしょうか。マラソンの1週間、2週間前まで試合に出るのも、周りからは『考えられない』という声は聞きますけど、僕の中では普通です」

 設楽は昨年9月のチェコで、ハーフマラソンの日本記録を10年ぶりに塗り替える1時間0分17秒を樹立(1週間前には10kmレースにも出場)。その1週間後のベルリンマラソンでは、2時間9分03秒の自己ベストで6位に食い込んでいる。

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