選手のために。東海大・両角監督が提案する箱根駅伝「3つの改革案」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 箱根は選手あってのものです。選手の頑張りがあるから注目され、視聴率が上がってスポンサーが付く。年々注目度が高まっていくけど、選手に還元されているかというとずっと変わらないんです。選手のレベルやタイムが上がっているのは、食事や治療、合宿や大会出場など、いろいろなことにお金をかけているからです。その負担や選手の持ち出しをできるだけ減らしてあげたい。私自身、2年前にこの提案をしたことがあるんですが、その時は『前向きに検討させてください』とのことでした。

 しかし、今まで何の変化もありません。箱根駅伝の開催規模が大きくなると、それだけ経費が増えるという判断があるのかもしれないですけど、主役は選手ですからそのサポートをもっと考えてほしいと思います」
 
 3つ目の改革案は、関東学生連合のユニフォームの統一化だ。学生連合は箱根駅伝に出場できなかった大学の中から予選会の上位成績の選手が選出され、母校のユニフォームで走ることができる。大学単位の20チームは襷(たすき)をつなぐことに必死になり、そこからドラマが生まれるが、学生連合はある意味、個人戦になっている。

 選手からすればチームとしての出場が叶わないなか、箱根を走れることは最大の喜びであり、所属大学へのモチベーション喚起の意味合いもある。だが、オープン参加とはいえ、ひとつのチームである。バラバラのユニフォームを着て走ることは、ルールの観点からも陸上界の底上げという目的からも果たしてどうなのかという疑問が湧き上がる。

「ルール的に、例えば日大のNのマークにピンクの縁取りをするだけで違うユニフォームだと指摘されます。学生連合は"チーム"なのに、そのルールが適用されず、選手はそれぞれの大学のユニフォームを着て走っています。

 うちも第89回大会で、学生選抜として早川翼が2区を走ったことがあるんですが、その時、大学のユニフォームを着て走っている姿に違和感を覚えました。母校のユニフォームは母校が出た時にだけ着るべきじゃないのかと強く思ったのです。そう思うのは自分がひねくれているからかもしれないですし、お前のところは箱根に出ているからそんなことを言えるんだって言われるかもしれない。

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