敗れた東海大で光った6区・8区は、次こそ箱根初優勝の布石となるか (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text by Sato Shun  photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 館澤はスピードに特化した練習に取り組んだ東海大が生んだ成功モデルと言える。日本選手権1500mで優勝し、出雲駅伝では2区(5.8km)を区間2位の走りで優勝に貢献した。

 全日本でも3区(9.5km)で区間賞の走りを見せた。春からのウエイトトレーニングで筋力が増し、体幹が安定した。見た目は長距離選手とは思えない筋肉質な体をしているが、体自体には重さを感じていないという。むしろ安定して走れるようになり、走力がついてきた。長距離が弱いと指摘されてきたが、弱いどころか、今回の箱根では今後8区(21.4km)の主役になり得るような走りを見せたのだ。

「正直、21kmはめちゃくちゃキツかったです。長距離は得意なわけではないので。でも、負けてたまるかっていう気持ちでなんとか走れました。8区を今回走ってみて、かなりの手応えを感じました。

 箱根には主要区間ってあると思うんですけど、青学は下田さんが8区でしっかりと結果を出して勝利に結びつけています。すごく大事な区間になっていると思うので、来年もこの8区を狙いたいと思っていますし、ここで結果を出していきたいですね」

 8区はコース的にも館澤向きだ。最初の10kmは平坦な道が続くが、15.9kmからは遊行寺の坂、原宿からの上り坂が続く。館澤は1年時、5区を走るなど上りもそれほど苦にしていない。館澤に8区を任せることができれば、来季はより攻撃的な布陣を敷くことができるのでないだろうか。少なくとも6区、8区を軸に復路で勝負できる配置が可能になれば、5位よりさらに上を目指すことは可能になる。

「今回の5位は誰が走ってもこの順位だと思います。これが今の東海大の力なので、これをしっかりと受け止めることですね。箱根はまず3位内に入ることが重要だと思います。3位内に入るというのは戦えている証拠なので、それを続けていけば優勝できると思うんです。そうして、うちが取り組んでいる"スピード"を武器に戦えることを証明したいですね」

 館澤は強い決意を秘めた引き締まった表情で、そう言った。

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