箱根のスター、高卒、外国人。ニューイヤー駅伝にみる日本長距離の今 (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

 このように20年前とチーム構成が大きく様変わりしているが、さらに今季からは、2人の外国人選手が加わった。これは、陸上界でかなりショッキングな出来事だった。「あの旭化成でも外国人に頼らざるをえないのか......」という落胆の声と、「優勝したのに、なぜ外国人選手を入れるの?」 という疑問の声が多く聞かれた。

 ニューイヤー駅伝で旭化成が17年間も勝てなかった最大の原因は、外国人選手が入る区間で大差をつけられてきたことにある。2009年からインターナショナル区間(2区)が設定されたが、パワーの違いは明らかで、日本人ランナーの"弱さ"が露呈した。

 旭化成は前々回、1万mで27分29秒69の日本記録を樹立したばかりの村山紘太が2区に参戦するも、区間24位(23分36秒)。そして前回は、5000mと1万mで日本歴代2位のタイムを持つ鎧坂(よろいざか)哲哉が挑戦したが、区間25位(23分23秒)に終わり、順位を13位から20位まで下げている。

 チームで日本人トップの走力がある鎧坂でさえ、同大会で2区を走った30人の外国人のうち、タイムで上回れたのは5人のみ。区間賞を獲得したビタン・カロキ(DeNA)には、わずか8.3kmで1分22秒という大差をつけられている。「日本人選手はトラックで世界と勝負できない」という現実を叩きつけられた形だ。

 そんな経緯から、今季は33歳のケネス・キプロプ・キプケモイと、24歳のアブラハム・キャプシス・キプヤティチという、2人のケニア人選手が加わった。

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