東海大は2分差を復路で逆転可能。箱根駅伝「初Vのシナリオ」はできた (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 出雲で優勝を経験し、全日本は2位に終わった。結果が出ているだけに自信がついているのは間違いないだろうが、調子が上がると「イケる」と思う反面、心のどこかに隙が生まれる時がある。それがチーム全員に伝播すると、春日のいう「足元をすくわれる」ということにつながる。

「まずは自分たちの走りに集中していこうと、全日本が終わった後にみんなと確認しています。出雲の優勝で全日本も勝てるだろうと浮足立ったところも多少あったし、他大学を意識しすぎて負けたこともあるので、そういう経験が隙にならないようにしています。力は青学を含め、他大学より一番あると思いますので、ふつうにやれば勝てる。昨年まで、こういうことを言えなかったですが、その力がうちにはあると思います」

 そう微笑む表情には、やれる自信がみなぎっていた。ちなみに春日自身はどこを走るつもりなのか。

「ずっと山の練習をしてきて5区に目標を置いてきたんですが、故障してからあまり山の練習はできていないので......。アンカーあたりでおいしいところをいただければと思います」

 春日は少し意味あり気な表情で笑った。

 宿舎に戻ってきた選手はアイスバスに足を入れて冷やす。春日は湊谷春紀(3年)、館澤、髙田凜太郎(2年)らとともに「つめたー」と言いながら足を入れ、談笑している。練習が終われば、4年から1年まで和気藹々(あいあい)が東海のスタイルでもある。

 練習を終えた西出コーチの表情は、非常に穏やかだ。

「昨年のこの時期よりも今年はいい状態ですね。今日の練習を見ても役者が揃ってきたなっていう感じです。あとは彼らをどう配置して、いかに持っている力を100%出せるようにしていくか、ですね」

 今年の箱根はハイペースになりそうな気配だ。東洋大、神奈川大ともに1区、2区をハイペースで飛ばしていくと宣言している。

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