過去最低の箱根駅伝から巻き返し。
山梨学院大は大砲ニャイロも元気だ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

主将としてチームを牽引する上田健太に、走りでも期待がかかる主将としてチームを牽引する上田健太に、走りでも期待がかかる 前回の箱根で山梨学院大は、「往路を突っ走る戦力を持つ」と期待されながらも、大会前に日本人エースの佐藤孝哉(当時4年)や、1年から箱根を走っている市谷龍太郎(当時3年)など、主力3人がインフルエンザにかかり、2区を走るエースのドミニク・ニャイロ(当時2年)も脚の状態が万全ではないなどトラブルが続いた。

 その悪い流れのまま、上田誠仁監督が心配していた1区でトップから2分50秒差の20位と大きく出遅れ、往路は16位と浮上できず、総合でも17位と、途中棄権を除けば過去最低順位になってしまった。

 さらに今季も、11月の全日本大学駅伝では1区12位と出遅れて流れに乗れず、総合9位という結果に終わったが、夏場は不調気味だったニャイロ(3年)が、最長区間の8区で神奈川大の鈴木健吾を18秒抑えて区間賞を獲得。3度目の正直でエース区間2区の区間賞獲得を狙う大砲の復調で、箱根では往路優勝も狙える状況になってきている。

 12月10日のエントリー時点での誤算は、前回7区を走り全日本でも3区を走った久保和馬(3年)を欠いただけにとどまった。山梨学院大附属高校が2013年に全国高校駅伝を初制覇した時のメンバーでもある上田健太、市谷、河村知樹の3名を含む4年生6名に、3年生と2年生が5名ずつという、ほぼ納得のエントリー状況だ。

「ニャイロは大走りはしないけど、外すこともない選手なので、前回も状態の悪いなかで2区を1時間08分31秒の9位という走りをしてくれた。11月の全日本でも13位でタスキを受けたので、オーバーペースで突っ込んでしまったけれど、最後は粘ってくれた。もっと落ち着いた走りができる状況ならば、もっとポテンシャルを発揮できたと思うし、昨季の今頃の状態に比べれば上り調子になっています。チーム全体的に下降線というのはない状態ですね」(上田監督)

 そのニャイロを生かすためにも、必要なのは1区がきっちり上位で走ることだ。

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