箱根駅伝V候補、東海大で懸念された「長距離への不安」が解消された (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 全日本を終えても阪口の長距離に対する不安は残ったままだった。走っていないので、それは当然だ。その不安を払拭しない限りは全日本よりもさらに距離が長い箱根は到底走れないし、自信がないまま走れば、結果がどうなるかは容易に察しがつく。

 阪口は意を決した。

 東海大が箱根駅伝の選考レースとして最も重視しているのが上尾ハーフだ。箱根の当落線上の選手は、ここで一発勝負をかけることになる。この時も初めてハーフにトライする關をはじめ、最後の切符をつかむべく多くの選手が出走した。だが、阪口は上尾ハーフではなく、オランダのセブンヒルズ(15km)に参戦したのである。

「全日本に落ちた後、オランダのレースでは絶対に結果を残そうと思っていました。両角監督からも『セブンヒルズをはずしたら、お前の箱根はない』と言われていましたし、自分は長距離での実績がない分、結果を出すしかない。しかもタイムがちょっといいくらいじゃダメで、インパクトのあるレースをしないといけないと思っていました。

 自分の好きなアップ&ダウンの多いコースでしたし、43分36秒(6位)で前年の鈴木健吾選手(神奈川大)の記録より42秒速く走ることができました。正直、ホッとしましたし、これでやっと箱根のスタートラインに立てたなという気持ちでした」

 セブンヒルズはその名の通り、7つの丘を越えるアップ&ダウンの激しいコースだ。阪口は調子が上がってきたこともあるが、もともと京都の実家の周辺がアップ&ダウンの激しいところで、そこを走ってきた経験が活かされ、好タイムが出た。

 ちなみに昨年、鈴木はこのレースで44分18秒のタイムを出した後、箱根を走り、2区で区間賞を取っている。その流れでいけば、阪口がいいイメージを持って箱根に挑めるようになったのは間違いない。実際、本人も大きな自信になったという。

「もう距離に対する不安はありません。早く箱根を走りたい、絶対にやってやるという思いが芽生えているので、箱根ではいい結果を出せると思います」

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