【月報・青学陸上部】追いつめられた王者。ついに原晋監督が陣頭指揮へ (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「不安なのは下田のマメの状態ですね。ペースが速い状況だと難しいと思うので、山の準備をしています。山の方が足のダメージは少ないんですよ。あまり蹴らなくてもいいし、もともと登りの適性もある。1時間12分台で登るので、下りの小野田と合わせて2区間で考えると、そんなに大きく離されることはないでしょう」

 そこには原監督の箱根戦略が見てとれる。

 今年はチーム全体で勝ち切る「ハーモニー大作戦」を掲げたが、それは神野や一色恭司(GMOアスリーツ)といった大エースがいないなか、5区+6区のように選手をセットで考え、全体のタイムを下げないように戦う作戦でもある。

 また、もうひとつの理由が考えられる。

 今年のチームに「共有感」が欠け、危機感を抱いているからだ。今季スタート時、キャプテンのあり方をめぐって吉永と原監督が衝突し、お互いの考えを理解するまでに少し時間がかかった。これは当事者だけの問題ではなかったが、チーム全員がそのことに対して意見や感情を共有させることができなかった。

 さらに4年生をはじめ主力選手に故障者が出て、チームとしての勢いが削がれた。

 昨年も上半期は安藤、秋山雄飛を始め、状態がよくない選手がいたが、夏合宿以降、彼ら4年生をはじめ、ほぼ全員が調子を整えてきた。それは3冠3連覇を達成するために選手が何をすべきか、全選手がそのことを分析して実行し、それぞれの考えを全員が共有したからだ。それが一体感につながり、力を発揮することができた。

 しかし、今年はそこまで至っていない。その危機感を原監督が感じているからこそ「私自身が指揮を執る」と前面に出てきたのだ。

 そこに今年の青学の苦しさが透けて見える。

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