箱根駅伝それぞれの戦略。神奈川大は1区、2区で早々に勝負をかける (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AJPS/AFLO SPORT

 大後監督は「3区はプレッシャーがかかる区間なので、もう少し楽なところを走らせてあげようかなとも思ったんですが、彼はまだ発展途上だし、これからさらに強くなっていくと思う。現在の1万mの持ちタイムは29分台ですが、28分40秒くらいの力は持っている。箱根後は、もう一度1500mからやらせて、4年の時には1万m27分台を狙えるようにして、トラックでユニバーシアードに出場させたいと考えています」と期待するほどの選手だ。

 さらに、距離が伸びて主要区間になった4区には、全日本の前半のエース区間である2区を走って区間7位ながらも、順位をひとつ上げた大塚倭(やまと/4年)を起用する予定だ。大塚は前回8区で区間2位のあと、世界クロカンに日本代表として出場し、1万mも今年は28分台に入っている。スピードタイプではないために全日本の2区は少し手こずったが、スタミナ面では不安もなく、終盤に長い上りが続く4区には最適な選手。前回のように鈴木健吾が2区で40秒近い差をつけてトップに立っていれば、そのまま逃げ切れる可能性も出てくる。

 5区と6区については、前回は大野日暉(はるき/4年)と鈴木祐希(4年)が走ったが、大野はずっと上るのが得意ではないタイプ。また鈴木も下りは苦手と言っていることもあり、ここは2年生を起用する予定だ。

「荻野太成(2年)は、こだわってやっている3000m障害で五輪標準記録を突破するために、5000mや1万mの記録も上げなければダメだと取り組んでいて、その一環として上りと下りの練習もしている。本人は上りを希望していて『区間6~7位になれる73分台を目指そう』とも話しています。下りは安田共貴(2年)ということになるかもしれないですが、60分くらいをメドに走ってもらえばいいと思っています」

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