神野大地、苦しみの初マラソンにも「大迫さんを越えていかなければ」 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「現状、日本のトップは誰が見ても大迫さんです。でも、東京五輪でマラソンに出場し、メダルを獲るためには越えないといけない壁だと思っています。5分という差は決して小さくはないですが、ここから徐々に縮めていかないといけない。僕はこれまで才能がない分、人よりも努力を重ねてきました。でも、あれだけやってきてもあの結果しか出せなかったということは、もっとやるしかない。そうしないと大迫さんには追いつけない。

 幸い、大迫さんに負けて悔しいと思えたし、もっとやらないといけないっていう自分がいるってことは、もっとやれるということ。大迫さんは覚悟を持ってやっている。僕も本気のレベルをもっと上げて、冷静に覚悟を持ってやっていきます」

 神野は清々しい表情で、そう言った。

 勝って得るものは大きいが、負けて得るものも大きい。特に神野は初めてのマラソンである。試合前の緊張感からレース運び、シューズ、腹痛、フォームなどいろんな経験をし、明確な課題が見えた。経験値という意味で神野が得たものは、ボストンマラソンで大迫が初めてマラソンを経験して得られたものに匹敵するぐらい大きかったはずだ。

「次のレースこそは、中野さんと一緒に喜びたい」

 神野はそう言った。

 レースから1週間明けて、練習を再開した。それは今まで以上にハードで厳しいものになっていくだろう。そして、神野の「本気」と「覚悟」が試されることになる。

(つづく)

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