箱根にはない緊張感。神野大地が「ほろ苦い初マラソン」を詳しく語る (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News


 痛みが出たのは、11月17日の練習後だったという。

 これまでもアキレス腱痛は何度か気になったことがあったが、たいていは1日アイシングをすれば、翌日には痛みが消えていた。この時も「いつものだな」とさほど深刻にとらえておらず、その夜、中野ジェームズ修一とレイヤートレーニングをこなした。

「ここまで順調ですね」

 そう笑って、神野は帰っていった。

 翌日の土曜日は完全なオフにして体を休め、日曜日に10kmほどのジョグに出た。すると途中でアキレス腱にこれまでにないような痛みが出た。

「走っていて『痛っ』と思って。ただ、その日は全体練習がないし、無理する必要もないので6kmぐらいで上がったんです。翌日、月曜日(11月20日)の朝、走り始めた時は問題がなくて、『あぁー、良くなったな』と思っていたら10kmぐらいですごい痛みが出てきた。『これはヤバい』って走るのをやめ、そのまま火、水と完全に休んだんです」

 さすがに木曜日から練習をしないと福岡に間に合わないと思い、走ったがまだ痛みはあった。だが、金曜日になると状況が好転した。

「金曜日、アキレス腱が本当に悪い状態なら、前日に走っているので痛みが出るはずなんです。でも、それほど痛みがなかった。土曜日、1万6000mのビルドアップをやったんですが、その内容がすごく良くて、しかも痛みもなくゴールできた。これで、なんとかイケるかなって思いました」

 コニカミノルタの磯松大輔監督は、「まぁ、よくあることだと思います」と、神野の申告をそれほど深刻にはとらえていなかったという。大きなレース前に極度の不安を感じたり、考え過ぎたりしてしまうと、普段なら気にしない痛みでもより強く感じてしまうことがあるのを経験上、知っていたからだ。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る