2017.12.19

北京五輪銅メダルの高平慎士が
冷静に分析する、東京五輪の4×100m

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 写真●新華社/アフロphoto by Shinkasha/AFLO

photo by Murakami Shogophoto by Murakami Shogo

――リオデジャネイロ五輪の銀メダルは、4人が同じくらいの調子で走れたことがあっての結果ですね。あのときと同じ走りが常にできる可能性は少ないんじゃないかと思いますが。

「リオでは、チームが持っている力の9割5分というか、ほぼ最高の形で走れたと思いますので、確かにその走りを期待するのはなかなか難しいです。ただ、人の期待というのは加速するものなので、『東京五輪では金メダル?』ということになってくる。現実的には、日本が東京で金メダルを獲得するには、他の国の調子が悪かったり、その他いろいろな状況が重なったりしないと厳しいかもしれません。だからこそ、なおさら予選で足元をすくわれないくらいの位置をキープしなければならないのですが、目標について選手本人たちがどう考えるかが重要ですね。これからの2シーズンで、どういうチームを作り上げていくか、注目しています」

――過度の期待は禁物ですが、それでも桐生選手が100mで9秒98を、山縣選手が10秒00を出してレベルが一段上がったというのは、チームにとっては追い風ですね。

「リオ五輪が日本のマックスではなくなった点は好材料ですが、今は2人しかその境地にいないというのがこれからどう響くかですね。サニブラウン選手も9秒台を出す可能性は高いですが、私は、チームとして結果を出すことはそんなに甘くないと見ています。リレーメンバーで『100mの上位3人に加えて誰が入るか』と考えたとき、タイム順だけではなくチームをまとめられる選手も選ばなくてはいけない。5番目の選手も含めたチーム戦略を、どこまで持てるかというのが重要だと思います」

――その中で、桐生選手をどこで使うかというのも注目です。

「私は、桐生選手はリオと同じ3走が向いていると思っています。他のチームとの差が詰まったところで走る3走は、桐生選手のような爆発力のあるタイプだと抜け出せる可能性が高いですから。1走には山縣選手がいいと思っていて、あとはエース区間の2走と4走に誰が候補となるかですね。現時点で、2走に関しては、飯塚選手はチームの中心になり得る存在でもあるし、末續さんのように我慢することができるタイプなので、キッチリ入ってくることを期待しています。来季は彼も100mを走ると聞いていますけど、私としては記録だけでなく、速いメンバーと走る中でどういう考え方をもって臨んでいくかに注目しています」