「目立たなかった短距離メダリスト」高平慎士がクールに振り返る競技人生

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 写真●ロイター/アフロphoto by Reuters/AFLO

【高平慎士が語る引退と男子短距離界・前編】

 今年4月に今季限りでの引退を表明した高平慎士は、9月の全日本実業団4×100mリレーで富士通の3走を走り、現役生活に別れを告げた。

 高平は、2004年のアテネ五輪で代表入りして以降、200mと4×100mリレーで代表の常連メンバーとなった。2006年以降は"3走のスペシャリスト"として、2008年北京五輪の4×100mリレー銅メダル獲得に貢献。その後も日本代表の中心選手として、2012年ロンドン五輪や、2014年のアジア大会などに出場した。

 そんな陸上短距離界の功労者である高平が、自らの現役生活と近年の日本の進歩を振り返ってもらった。

北京五輪4×100mリレーで3走を走り、メダル獲得に貢献した高平(左から2番目)北京五輪4×100mリレーで3走を走り、メダル獲得に貢献した高平(左から2番目)――ナショナルチームに入ってからの10年で、何を残せたと思っていますか?

「何かを残そうと思っていたわけではないですが、現在こうやって注目されるようになった男子短距離の中で、『(高平が)いてくれてよかった』と思っていただける方がいるのは嬉しいことです。私自身は、素晴らしい先輩たちに揉まれていろんな経験が積めたし、いろいろなものを見ることができました。ボルト選手がいたということを含めて、いい時代に走れたと思います」

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