【東海大・駅伝戦記】箱根に通じる最終レースで部員同士が火花を散らす (6ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 東海大の箱根メンバー争いは熾烈だ。チーム全体はもちろん、同学年の中でも厳しい生存競争を勝ち抜かなければならないため、常にレベルを上げていく必要がある。

「今回のレースでは、いくつか改善すべき点が出てきたので、そこをどう修正していくかですね。後半は動きが固まっていたので、余裕をもって体を動かせる力をつけていかないといけないと思っています。メンバーに入れたら、どの区間でも区間賞を出していけるように頑張りたい。希望ですか? うーん、4区、7区、9区ですね」

 西川は小さな笑みを浮かべて、そう言った。

 レースのラストはストライドが広がり、少し伸びきっていた。もともと力がある選手ゆえ、ラストを粘っていけるようになれば箱根メンバー入りが見えてくるだろう。
 
 選手たちは待機所でクールダウンのジョグのために着替えながら携帯で各自、順位を確認している。

5位  關颯人
6位  湯澤舜
8位  西川雄一朗
11位  郡司陽大
14位 高田凜太郎
15位 中島怜利(2年)
24位 島田良吾(4年)
28位 西田壮志(1年)

 目に留まったのは、西田の名前だった。

 西田は白樺湖の夏合宿、山登りの練習をしていた。最初は軽い体をいかしてテンポよく登っていたが、頂上近くになって風が強くなるとペースがガクンと落ち、最後は1分遅れでスタートした春日に抜かれた。走り終えると駐車場の地面に倒れ、「体が痛い」としばらく立ち上がれなかった。

 あれから3か月ほど経った......。

「今も"山"中心でやっています」

西田は、明るい表情で、そう言った。

「今回は、距離に不安はなかったんですが、トップの選手がたくさんいる中、ペースの変化についていけなくて......。1時間3分30秒は切りたかったんですが、現実は甘くなかったですね。ただ、今、自分が持っている力は出せたかなと思います」

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