【東海大・駅伝戦記】箱根に通じる最終レースで部員同士が火花を散らす (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 レース前に描いていた走りが少しはできたのだろう。表情から安堵感と余裕がうかがえる。出雲、全日本のメンバーから漏れた湯澤にとって、このレースは箱根に向けてアピールの場になったようだ。

「出雲はともかく、全日本は狙っていたんですけど、スピードという部分が自分はあまり身についていなかったのでメンバーには入れませんでした。その分、この上尾ハーフに集中できたのが大きかったですね。この結果で長い距離で勝負できることを見せられたと思いますが、自分はまだ箱根のメンバーに入れるかどうかギリギリのライン。もし選ばれたら、長い距離が得意なので10区を走りたいですね」

 3年生では三上と湊谷が出雲、全日本を走り、結果を出してきた。昨年の箱根を見てもわかるように東海大は3、4年生の踏ん張りが箱根制覇には不可欠であり、それが黄金世代である2年生の活躍以上にキーになる。

「1、2年生には自分らがいるから思いきり行ってもいいよなって思って走ってもらいたいですし、そう思ってもらえるような走りを自分たちがしないといけない。それができるチームになれば箱根は勝てると思います」

 箱根のメンバー16名の中に湯澤が名を連ねていれば、それが可能になる。

 湯澤は自らを箱根メンバー当落線上という分析をしていたが、西川もこの大会が箱根のメンバーに生き残るための最後のレースと位置付けていた。

「もう、背水の陣で挑みました」

 西川は冷静な声で、そう言った。

白樺湖での夏合宿、西川は腰痛を抱えて満足のいく練習ができかった。9月の紋別合宿では足を故障してしまった。本格的に練習を始めたのは9月末からになり、その結果、出雲、全日本ともにメンバーに入れなかった。

「悔しかったですが、そこは切り替えてすぐに箱根を目標にしました。そのためにはこの上尾で絶対に結果を残さないといけなかったですし、やってやるという気持ちで臨みました。日本人6位で入賞できたのはよかったと思いますし、箱根への勝負の土俵に上がれたと思いますが、まだまだ安心はできないですね」

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