密着ルポ・神野大地は初マラソンの福岡に向け、どんな準備をしているか (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 30kmでやめた時はその週のトレーニングメニューを変更することを考えたが、理由が明確になったので予定通りに進めた。水曜日にはロングジョグ、木曜日はレイヤートレーニングをして、金曜日には400mを20本走り、充実したトレーニングができた。

 翌週の月曜日には西湖で走れなかった40kmを走った。当初、その日は30km走が入っており、うまくチェンジしてトレーニングスケジュールを順調に消化することができたのである。

「最初、42.195km走ろうかなと思ったんですが、強化の時はいいとしても本番3週間前なので無理せずということで40kmにしました。集中して気合で走ったんですけど、かなり余裕をもっての2時間10分2秒でしたし、速いペースで走っても足が疲れなかった。これまでのトレーニングがつながってきて、福岡がかなり見えてきたなって思いましたね」

 神野は充実した表情でそう言った。

 10月中旬に体調を崩してからここまで戻すことができたのは、ひとつは神野の"言える勇気"があったからだと言える。チームから練習メニューが提示されるが、そのメニューをこなせる自信がなかった神野は監督と相談し、決して無理をしなかった。自分の意見を伝えてメューを軽減してもらったのだ。監督にはなかなか言いにくいが、きちんと自分の状態を判断し、自分の考えを伝えることはアスリートにとって大事なことだ。

 11月17日は、朝は10.5kmのジョグ、午前11時から南大沢の競技場で追い込み練習、午後3時からはレイヤートレーニングが入っていた。

「今日、僕は世界で一番練習しますね」

 神野は苦笑しながらそう言っていたが、まさにトレーニング漬けの1日だった。

「3000m、8000m、200mの追い込み練習は青学の原監督が好きで、よく大会の10日前とかにやっていたんです。自分はヨーイドンで動かすよりも徐々に動かしていく追い込み練習の方が合っているんですよ。タイムは特に設定していなくて、3000mは8分40秒ぐらい。実際は8分38秒で予定通り。8000mはラスト、2分55秒まで上げたいなって思っていたんですが、最後の3000mを1km3分5秒、3分、2分54秒でいけた。最後の200mはもうちょい追い込めたかなと思うけど、月曜日に40km走って、水曜日にロングジョグをやったなかで今日しっかり走れたんで、いい流れできていますね」

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