密着ルポ・神野大地は初マラソンの福岡に向け、どんな準備をしているか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「残念でしたね。1区であれだけ遅れてしまう(トップの東洋大に1分22秒差)と、2区の選手も焦ってしまう。それに初めて駅伝を走る竹石(尚人)をはじめ、みんな最初、突っ込んで差を縮めたけど、後半は疲れて逆に離されてしまった。そんな感じで常に後手を踏んでいましたね。

あと、駅伝はやっぱり4年生が走って、なんぼなんですよ。今の青学は下田(裕太)、田村(和希)とか、今回は中村(祐紀)がチャンスをもらったけど、その3人がしっかりと走ってこそ優勝が見えてくると思うんです。走るべき人間が走らないと勝てないというのがハッキリ表れた駅伝でした」

 大学駅伝は残すところ箱根駅伝しかなくなった。青山学院大は出雲、全日本のタイトルを失い、3連覇した昨年までの勢いが感じられない。選手層は決して薄くはないし、選手個々のタイムも悪くはない。しかし、2年前の神野の代や一色恭志がいた昨年までのチームとは異なり、今ひとつ強さが感じられない。神野はキャプテン時代、全日本で敗れ、箱根で巻き返したが、現在の青学大が箱根で勝つためには何が必要なのか。

「僕はチームに勝てる力はあると思うんです。あとは、4年生がどこまで本気になれるかじゃないですか。11月下旬には箱根を走れる選手、外れる選手が明確になる。そこでメンバーから外れた4年生がどれだけチームに貢献できるか。そして、全員で勝つんだという一体感をどこまで高めていけるか。

 僕はキャプテンの吉永(竜聖)に頑張ってほしいと思っています。調子さえ戻ればアンカー確定じゃないですか。今の状態はそれを自分から投げ出しているように見える。吉永が覚悟を見せられれば、箱根は勝てると思います」

 神野は後輩たちの現状に厳しい表情を見せた。力があるのにそれを出せないのは、「何か足りないものを探さないからだ」とも言った。偉業を成し遂げてきた先輩の言葉だからこそ響くものがある。果たして、後輩たちは神野の言葉をどう捉えるか......。

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 全日本の翌日、神野は西湖で40km走に挑んだ。しかし、30km付近でペースが落ち、途中で走るのをやめたという。

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