全日本を勝った伏兵・神奈川大は、箱根駅伝でも青学、東海を崩せるか (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

「監督からは、最初の5kmは14分30秒くらいで入れと言われていたけど、やっぱり気持ちが高ぶっていたんでしょうね。でもムチャクチャ速すぎることもなかったし、気持ちにも余裕があったので。58分切りができればいいというくらいの気持ちで走っていたので、57分24秒までいくとは思っていませんでした」

 こう言って笑顔を見せる鈴木は今年、8月下旬のユニバーシアードのハーフマラソンで優勝を目指していたが、大会前に右臀部から股関節部分を痛めてしまい3位という結果に終わった。その後は9月の菅平合宿で4~5時間の登山を数回やることから始め、出雲駅伝の頃は伊豆大島で個人合宿を行ない、来年2月の東京マラソンへ向けた40km走を中心に練習する状態だった。

 本人も「久しぶりのレースだったし、出雲も出なかったので、レース勘という意味では万全の状態ではなく、前回の箱根や学生ハーフの前ほど(調子が)いいとは思えなかった」と不安を抱えていた。中間点を28分17秒で通過しながらも、後半失速したことを反省し、まだまだ練習が足りないと振り返る。ただ、区間賞こそ57分06秒で走ったドミニク・ニャイロ(山梨学院大3年)に奪われたが、そんな8割程度の状態でもきっちり走れたというのは力のある証拠。学生ナンバー1に値する走りを示した。

 しかし、これで神奈川大が箱根の強力な優勝候補に駆け上がったとまでは言えないだろう。鈴木も「まだまだ選手層も厚いとはいえないし、全日本ほど簡単には勝たせてもらえないと思う」と気持ちを引き締める。大後監督もまた、「今回は全員が計算通りの走りをしてくれたが、レースの主導権を作っていたのは東洋大や東海大、青学大だから。今日は自分たちが作ったレースではないので、ゴールしてからも『お前たちはいいとこ取りをしたようなものだから、あまり馬鹿騒ぎをするんじゃない』と言いました」と苦笑する。

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