全日本大学駅伝で東海大Vのカギを握るのは「出雲を外された4年生」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 出雲で指定席を失った川端にとって全日本でその椅子を取り戻すには、大会まで4週間の間のレースで結果を出さなければならない。しかも、チャンスは1度しかなかった。

 10月15日、川端は高島平ロードレースに出場した。

 1周5kmのコースを4周する20km。招待選手には川内優輝の名前があった。ロンドン世界選手権のマラソンを走った選手だけに相手にとって不足はない。

 そのレース、川端は終盤に川内を差して、見事優勝したのである。

「僕にとってこのレースは背水の陣でした。紋別での合宿で出雲の次って言われましたけど、ここを勝たないと全日本は走れないという気持ちでした」

 このレース、川端はそれまでとは少し違う展開を見せた。いつもなら相手についていって、最後で勝負するスタイルだが、この時は自らレースを引っ張る時があり、積極的なレースを展開したのである。

「最初からいくと失敗すると思ったので、そこはみんなの流れにのって、中盤で中だるみしそうなところでは自分がペースを刻めば記録もついてくるかなって思っていました。5km通過以降は(1kmを)3分以上かからないように自分が引っ張っていけましたし、後半は川内さんがいてくれたので、そこにリズムを合わせながら最後の3kmでもう一度仕掛けるレースができた。それで勝てたのがすごく自信になりました」

 収穫は勝ったこともそうだが、より大きいのは全日本でアンカーを走ることを想定して狙い通りのレースができたことだ。昨年の全日本は2区を走ったが、最初から突っ込み過ぎて後半、落ちてしまった。その反省からこのレースでは1km3分のペースを刻みつつ、レースをリードし、両角監督が重視する"勝利"を得た。これで全日本での出走が当確になった。

「全日本はアンカーしか考えていないです。理想は出雲のようにある程度、最後に余裕を持ってきてもらえるとうれしいですね。1分以上の差があると3分ペースで淡々と走れるので、それが一番気持ちいいかな(笑)。仮に青学大をはじめ、競(せ)った状態できたとしても、最後に1番でゴールすることだけを考えて走りたい。ホント勝ちたいんで」

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