強力2トップの東海大。全日本大学駅伝に向け「長距離化」は進んだか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun photo by Kyodo News


「今日は、みんな若干ピリピリしていますね」(西出コーチ)

 ポイント練習で追い込むので選手自身がその厳しさを察しているせいもあるが、全日本に出走するためにチーム内競争が一段と熾烈になり、お互いに負けられない意地がバチバチと衝突しているからでもある。

 全日本のメンバーは出雲の登録メンバー10名プラス湊谷春紀(3年)、西川雄一朗(2年・主務の西川とは別人)、中島怜利(2年)が登録された。

 湊谷は10月1日の札幌マラソンハーフで優勝。平成国際大記録会の1万mでも29分12秒15と調子を上げてきている。この日は養護実習で練習に参加できなかったが、長距離が得意な湊谷が入ってきたことでオーダーの幅が広がった。

 中島は今年、箱根駅伝6区でデビュー、この夏は実業団の練習に参加し、距離を踏んできた。高島平ロードレースでは59分35秒の自己ベストで川端に次いで2位になるなど、長い距離が得意だ。

 西川は白樺湖合宿では腰痛を訴えていたが復調し、9月30日の世田谷記録会では5000mで13分56秒01の自己ベストを出した。ポテンシャルが高く、両角監督が成長を期待している選手のひとりだ。

 全日本は出雲より2区間増えて8区間になる。距離は8区が最長で19.7kmになるなど、各区間とも出雲のほぼ倍の距離を走ることになるので、長距離に強い選手の力が必要になってくる。

 ポイント練習は3000m、6000m、3000mで設定タイムがあり、ペース走がつく。6000mでは途中で川端から關颯人(せき はやと/2年)にペース走が入れ替わり、ぐんぐん引っ張っていく。途中で阪口竜平(2年)が遅れたが、他選手はしっかりと走り切った。最後の3000mは國行麗生(4年)がペース走で引っ張り、ラスト1周はフリーになった。すると鬼塚翔太(2年)がサッと前に出てきた。そのスピードは圧巻で、そのまま8分21秒でフィニッシュ。後続も鬼塚から5秒内で続いて走り終えた。選手はゴール後、そのままトラックに倒れ、あるいは座り込み、一様に「きっつー」を連発している。

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