マラソンに対応中の神野大地。
頻発するレース中の腹痛はなぜ起きる?

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「今、フォームを前傾にするために腰回りを鍛えているんですが、昨日の報告で右の腰に強く張りが出ているのを聞いていましたし、実際かなり張っていました。前傾のトレーニングをもう1セット入れると多分、腰痛になるので、今日はここまでですね」

 神野はアメリカから帰国後、中野とのトレーニングを継続しつつ、コニカミノルタでの練習量も減らさなかった。そのため両方の疲れが腰に出てしまっていたようだ。練習中からしきりに腰とハムストリングスの周辺をさすったりして、気にしていた。

 それでも8月末に「前傾のフォームをこれからやっていく」という話を中野がしてからまだ1ヶ月程度だが、神野曰く、すでに「自分で前傾を感じられるようになってきた」そうだ。すごい勢いで前傾フォームへの改造が進んでいるのがうかがえる。中野も「だいぶ良くなっている」と驚きながら続けた。

「でも、まだまだ完成じゃない。意識でもっていけるところと筋肉を作って無意識にもっていけるところがあるんですが、筋肉を作ってというのは時間がかかる。神野自身は少しずつ"前傾"を感じているようだけど、彼がそのくらいに思っているうちは見ている側からはそんなに変わらない。もっと前傾ができてくると誰が見ても変わったなとなってくると思います」

 神野自身は、前傾フォームがかなりしっくりくるようになったと言う。

「今のところ違和感はないですね。前は前傾を意識しても、気づいたらすぐにいつもの姿勢に戻っていたんですが、今は前傾してもキツさがなくて、自然と対応できるような体になってきました。中野さんに『蹴り上げ』を言われても、なかなか最初はできなかったんですが、意識して続けていくうちに意識しなくてもできるようになったので、前傾もそのうち意識せずともできてくると思います」

 神野が言う通り、力強い蹴り上げは最初、意識することで体に沁み込ませ、今ではそれが自然にできるようになった。ガニ股だった走りを内側に入れて走るというのも最初は意識していたが、今は内側に入れて走った方がラクになり、自然と足を運べるようになった。

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