マラソンに対応中の神野大地。頻発するレース中の腹痛はなぜ起きる? (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「いやー、もう限界が近い。結構、疲労しています」

 神野は顔を歪ませた。

「さっき筋肉を触った感じは悪くなかったので、今日やれば筋力が戻るよ」

 中野が冷静な声で言う。

 神野は9月16日にアメリカのフラッグスタッフから帰国し、すでに19日にレイヤートレーニング、21日に瞬発系トレーニング、22日に体幹と3回、中野とのセッションを終えていた。この富津合宿では"追い込む"ことを目的にしているので、まず初日にレイヤーを入れたのだ。

 2分間のレストの後、2山目に入った。

 Bのトレーニングは両手を下につき、片足を前に出した体勢を取り、そのまま垂直に両手を上げて飛ぶ。そのジャンプを中野がスマートフォンで撮っている。

「3cmぐらいジャンプしているんですが、2、3カ月後、このくらいの負荷をかけた時、どのくらいジャンプできるかを見るために撮影しました。ジャンプ系トレーニングはつらくなってくるとブレるし、前に移動したりするんですが、できるだけ同じ場所で連続してジャンプできるようにしていきたいんです。どんなにきつくても上半身のコントロールができるようにしていかないといけない。走っていて右や左に行ったり、そこで必死に走っているようでは強い選手になれないですからね」

 わずか3cm程度のジャンプだが、20回もやると「腰がいてぇー」という神野の悲鳴が上がった。

 結局、2山目はABCDまでで終わり、Eには進まなかった。いつもなら神野が苦しんで喘いでも、まるで聞こえなかったように淡々と進めるのだが......。

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